美大生A

スパイの妻の美大生Aのネタバレレビュー・内容・結末

スパイの妻(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

実話でもないが、満州で人体実験が行われた事や売国奴を摘発するために憲兵隊が組まれた事等事実を交えたフィクション。
太平洋戦争がどうだということよりも、幸せとは何かを追求していく夫婦を描いた作品。

優作がしたこと?(完全に果たせたかは不明だが)によって神戸が火の海になり、聡子が泣き叫ぶシーンの喪失感が半端ない。フィルムを通してじゃなくて聡子は実際に優作の「見たもの」を見て同じ場所に立てた瞬間なのだろうと思ったら悲しすぎるだろ。
観終わったのが人が寝静まった深夜だったこともあり、かなりダイレクトな虚しさと寂しさに襲われた…
マジョリティとマイノリティをめちゃくちゃよく描いている作品で、聡子の最後のセリフ「私は一切狂っておりません、ただそれがつまり狂っているということなのです。この国では」に凝縮されていると思う。

フィルムというアイテムを利用したギミックも面白くて全てを爽快に回収していくのが観ていて面白かった。
優作は多分ずっと前からスパイだったんだろうな。ただ聡子の命を守りたくてわざわざ憲兵隊呼んで捕まえさせて、安全に過ごせる病院に入れるなんて凄すぎるな。めっちゃ先読みじゃん。
優作は自分の正義を貫いて愛する人を守ることが幸せ、他人の不幸のもとに成り立つ幸せは幸せと呼べない。聡子は精神的にも物理的にもただただ優作と一緒にいたい。それだけで幸せ。なのに叶わない、夫婦の愛はたしかなのにそれぞれの幸せがズレてて噛み合わない歯痒さが辛い。

最終的に2人が一緒になれたことを願うばかり。

娯楽性にも富んだミステリー映画おもしろかったです!
ps旅館のシーンで登場する積善館という旅館ご存知の方も多いと思いますが、相当雰囲気がよく、千と千尋のモデルにもなっていて雅なので行ってみて!
美大生A

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