蒼井優の「お見事ーー！！」の あの声
あの声こそ お見事
それが この映画で いちばんの感想です
観てからけっこう日が経っているのですが、今もくっきりと耳に残る
全体的に 声が印象的な映画だったかもしれません
高橋一生の深く響く声
蒼井優も高橋一生もその他の登場人物も、どこか芝居がかった クラシカルな声の出し方をしていて
でもそれが、古風なしぐさ、レトロな形のスーツやワンピース、古雅な建物や町並みなんかと マッチしてて、雰囲気があって 良かったです
褪せたような色彩、照明のたりない 画面の隅々までは映らないような 映像
しばしば 本当に昭和時代につくられた映画を 観ている気がしてしまいます
でも 画面中心の人物だけは はっきり鮮明なんですよね、昭和の頃とは 機材がぜんぜん違うんだろうなぁ
そして
無音のフィルム
笑顔で映る軍医たち
あれは、マジで超怖かったですね、久しぶりに映画を観てて 本気でゾッとした
アボリジニ アメリカ先住民 そして世界大戦
実は過去から繰り返されてきた攻撃の形
日本のスパイ映画なんてと どこかナメていたのですが
ド派手なアクションはなく 淡々と静かだけれど なかなかにスリリングで
息を詰めて見守りました
ラストが 蛇足だった気がします
優作の愛と それに気付いてる聡子
もっとわかりやすく描いたほうが 逆に安っぽくない気がしたんですけどね
底知れない、何を考えてるかわからない、でも愛情が滲んでいる気がする そう思いたくなる…… 複雑な演技を よくするなぁ 高橋一生
その高橋一生がゆっくりと帽子をふり、小さな船で遠ざかってゆく
ここで終わらせても よかったかもな
聡子の「お見事」と同じくらい、このシーンも 心に焼きついています
