栞

スパイの妻の栞のネタバレレビュー・内容・結末

スパイの妻(2020年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

めっちゃ良かった。
カメラワーク良すぎる。

冒頭のドラモンドが帰った後の二人で話してるシーンは聡子と優作が別の部屋にいる(二人の間にドア枠がある)

優作と文雄が待ってるところに聡子が走ってくるシーンは優作と後ろの軍人たちは反対方向を向いていて、特に指揮をする軍人と優作は体の向きを変える時の回る方向や歩く方向まで鏡合わせのように綺麗に真逆の動きをしているのに対して、走ってくる聡子は軍人たちと同じ動線(画面右側から入る)でやってくるけどもタイミング的には軍人たちと上手い具合に反対を向くようになっている。

聡子と泰治がウィスキーを飲むシーンは
優作の不在の話で隣の部屋へ出ていく泰治、昔馴染みとして忠告で同じ部屋に戻ってくる泰治、泰治が福原家の在り方(舶来趣味)を忠告している時に聡子と泰治が隣の部屋との間のドア枠に一緒に収まっていて、同時に聡子はさらに隣(奥)の部屋のドアの枠にも収まっている。

この辺のカメラワークで軍と優作が対立していて聡子は絶妙にどちらかわからないけど軍側の人間なんだろうなって思った。

聡子が役者で映画を撮ってるシーンで、スパイって演じることだから聡子がスパイなのかなって思った。

後最後面会に来た医師、優作が死んだことを伝えた後「長い間ご苦労様でした」って言ってて夫が死んだ女に言う言葉じゃないし、優作が死んだタイミングでこの言葉放って聡子を引き取りに来るのも怪しすぎる。

でも私が見ながら聡子怪しいって思ったのって、防諜思想を見てる側に起こさせて、当時の人々と同じ状況にさせてるから上手いなって思った。

亡命の準備をしている時は聡子と優作が同じ方向を向いてることが多かったから聡子は本気で優作と一緒に行くことを決めてたのかなって思った。会社に行って金庫開けるシーンが、スパイを演じてた映画とは違う展開で、チェス盤をひっくり返しちゃったのが聡子の心境の変化を表してるのかなと。(優作が元の位置に駒を戻す時に入れ替えてる)

聡子が、スパイではなくスパイの妻としての生き方を選んだ、ということかなって思った。
栞