ノットステア

スパイの妻のノットステアのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
4.0
○感想
ドラマは観ていない。

セリフ回しが演劇の舞台のようだった。なんとなくそう感じた。声の張り上げ方とか。。。
光の感じが独特だった。眩しいんだけどくすんでいるような、、、
予想していなかった展開に驚いた。でも、ちょっと考えてみれば予想できた気もする。自分で言ったことが自分に返ってきていた。

実話ではないらしい。
ただし、人体実験や細菌兵器の開発を行った部隊があるのは本当らしい。関東軍防疫給水部、通称731部隊。

拷問のシーンあり。『007/カジノ・ロワイヤル』の拷問より痛そうだった。

本当は優作が何をどう考えて行動していたのか。わからなかった。どこまでが計算だったのか。
また、聡子の思考も理解できなかった。

以下、ネタバレあり










優作に裏切られたと聡子は思っていないのではないか。「体が離れることは心まで離れることだろうか。」「距離が離れることでこれまで以上に強く深く心が通い合うことがあるんだよ。」という優作のセリフがある。聡子を憲兵に逮捕させることで優作の亡命が達成できるなら、聡子も満足?でも離れたくないと聡子は言ってたし、、、やっぱり悲しかったのかな。
 聡子は文雄を裏切った。その時、文雄なら分かってくれると聡子は言った。このセリフが聡子自身にも返ってきたのではないかとも思う。自分も分かるしかない、と。
 終戦まで聡子は死ななかった。ある意味では優作の決断が聡子を死なせなかったと言えるかもしれない。



〇印象的なセリフ
・福原聡子(蒼井優)「満州は上海より危険でしょう?」
福原優作(高橋一生)「本当に危なくなる前に、大陸をこの目で見ておきたいんだよ」

・福原聡子(蒼井優)「あなたがスパイなら、私はスパイの妻になります。」「捕まることも死ぬことも怖くありません。私が怖いのはあなたと離れることです。」
福原優作(高橋一生)「体が離れることは心まで離れることだろうか。」「距離が離れることでこれまで以上に強く深く心が通い合うことがあるんだよ。僕たちだってそうなれる。心配するな。離れてもまた必ず一緒になれる。」

・福原聡子(蒼井優)「先生だから申し上げますね。私は一切狂ってはおりません。ただ、それがつまり、私が狂っているってことなんです。きっとこの国には」



〇あらすじ
1940年。

貿易会社を経営している福原優作(高橋一生)。
趣味は映画を撮ること。主演は妻の福原聡子(蒼井優)。
スパイ容疑をかけられたイギリス商人とも仲良くする。
西洋文化を好む。洋服。外国のウイスキー。

聡子の幼馴染で憲兵隊長の津森泰治(東出昌大)。優作のことを良く思っていない。

優作は甥っ子の竹下文雄(坂東龍汰)とともに満州へ行く。
帰国。
謎の女性。

貿易会社の忘年会。文雄が会社をやめる。旅館「たちばな」で小説を執筆すると言う。

優作はアメリカに行きたいと言う。

泰治が聡子を呼び出す。
「たちばな」の近くで水死体。それは優作が満州から連れてきた女性。その女性を「たちばな」で雇わせた。容疑は優作と文雄にかけられている。

夕食。聡子が女性のことを優作に聞く。答えない優作。

聡子は「たちばな」に行き、文雄を問いかける。
文雄は聡子に封筒を渡す。封筒の中を見ずに、優作に渡すように頼む。

優作に封筒を渡す。聡子は優作に何があったのかを話させる。
満州での出来事。研究施設。死体の山。細菌兵器。人体実験。ペスト。
封筒の中身は、人体実験について書かれたノート。文雄が英訳したノートも。

国際政治の場で発表すると言う。
国家反逆。コスモポリタン。正義。

後日、優作のいない時に会社に行き、聡子は金庫からノートとフィルムを取り出す。(その際、チェスの盤と駒を落としてしまう。)
帰宅し、フィルムを再生。

聡子は泰治にノートを渡す。
文雄は捕まる。拷問。手の爪をすべて剝がされる。

優作も捕まる。
文雄は優作の名前を言わなかった。女性を殺したのは宿の主人だった。
優作は文雄の爪を持って帰宅。

優作は聡子を責める。聡子が泰治に渡したのは元のノート。英訳したノートや映像はまだ残っている。まだ発表するチャンスはある。

イギリスの商人に記録を預かってもらっていたが、大金を要求される。
アメリカに行くには亡命しかない。

時計や宝石などを大量に購入。記念日のふり。亡命後の資金を確保する。

優作の提案で危険回避のために、優作と聡子は分れて亡命する。

協力者の外国人の助けを借りて、聡子は一人で船の貨物に隠れる。聡子は憲兵に捕まる。

泰治が聡子の取り調べを行う。
聡子が亡命するという情報が憲兵に届いていた。匿名で情報を送った誰か。
人体実験の映像を流すことにする。映し出された映像は聡子を主演にした映画。
聡子は優作に裏切られたと気づく。

病院に入っている聡子。空襲。

エンディング。
(文字のみ)優作が死んだという報告書。捏造の可能性。聡子はアメリカへ渡る。



○731部隊について
・「731部隊の元少年兵が激白…『残虐な人体実験が我々の日常だった』 2つの『日常』が重なった少年兵の記憶」2020.08.15
https://gendai.media/articles/-/74905?page=1&imp=0

・「731部隊の真実 ~エリート医学者と人体実験~」『NHKスペシャル』
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/blog/bl/pneAjJR3gn/bp/pL7yDJJ0BW/