ぴー

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのぴーのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

日本最速試写会にて。

相変わらず文字通り観たことのない映像に終始興奮しっぱなしな上、お構いなしに情報が氾濫し続ける2時間超だったので、観た後しばらくは脳が処理しきれずに飽和状態というかトランス状態というか。
しかも個人的に今までのどの映画版スパイダーマンより絶望も希望もダイレクトに喰らってしまうのもあり、終盤の畳み掛けに打ちのめされてしまって、やっぱり頭がボーッとしている。

自分でも気付いてなかったけど、これまでは「とは言ってもピーターパーカーは特別じゃないか」という気持ちがあったかもしれない。
それが今作のマイルズにおいては、one of themなのにその中において異端である、という重層構造に共感を見出してしまって感度が高まった。

「自分の人生は(良くも悪くも)こうなるはずじゃなかった」と知ること・思うことは、どんな方向に転んでもツラい。
署長になった父親が死んでヴィランになっていたかもしれないという可能性を目の前にして、(クモの誤配とでも言えるような)間違った運命に導かれた末に、自分の意思とは無関係に辿り着いた現実と向き合うなんて…無理すぎ…。
まだ数日はふとした瞬間に思い出して考え込んでしまいそう。ツラすぎるよ。

(基本的には)ティーンであるスパイダーマンが背負わされたあまりに重い“犠牲”という物語を、マイルズはどうやって、どんな風に書き換えることができるのか。
そこにだけ一縷の希望を持って、1年先の『ビヨンド〜』公開を待つしかできないのだった…。

小ネタは数あれ(さすが)、ドナルドグローヴァーのカメオが一番嬉しかったです。



-------
2023.06.25
IMAXレーザーで2回目@TOHO新宿

1回目よりは消化できたし各描写もよく観れたのだけど、それでもまだまだ観足りないという気持ち。字幕を捨てても目が2つじゃ足りん。

ただ多少は理解度が深まった分、ツラさも倍増してしまって、呆然としたまま帰宅してシャワー浴びながら号泣してしまった。
両親には理解されず(理解されないと思うからそもそも話すこともできず当然理解されない)、明確に言葉で否定されるわけでもないけど、決して肯定はされない。そうして部屋から逃げ出して飛び込んだ"society"からは“You're a mistake”と突きつけられる。"made" a mistakeじゃなくて"are" a mistakeと言われるって相当キツくて(字幕では異端分子(?)とかって訳されてて柔らかく感じるけど)、要は「お前の存在自体が間違いなんだ」って社会に突き付けられる感覚は何度味わっても胸が沈み込むように痛む。しかもちょうど最近またそういう気持ちになっていたので、すっかり食らってしまった。
そんなマイルス(というか俺?26歳にもなって?)との対比として、父との対立を乗り越えて“You're the best thing I’ve ever done”とまで言ってもらっているグウェンを見ると、余計にツラくなるのです。

来たる2024年、小2の俺が(他の同世代の多くと同じように)スパイダーマンひいてはMARVELと出会ったサムライミ『スパイダーマン2』から20年。
20代後半、広義のアラサーに突入してもなお、ティーンのスパイダーマンに自己同一化してしまう自分を情けなく思うと同時に、きっと失ってはいけない部分でもあるんだろうなと思った梅雨の夜でした。
ぴー

ぴー