観終わった瞬間は驚きが強くて戸惑ってしまったけど、思い返せばとてもシンプルで、(濱口竜介監督にしては短めの)100分強かけてじっくり積み重ねたものの当然の帰結の形だったと思わされる。
苛立ちとタバコ、それを煙たがる無意識。
「悪は存在しない…のか?」と狐につままれた気分にもなるけど、そういえば劇中でもスクリーンに映し出されたのは英題だけだった。
EVILのニュアンスを踏まえれば、なるほどdoes not existなのかもしれないなと妙に納得させられた。
濱口映画の中でも特に画がキマっていた。会話劇が面白いのはもちろんだけど、セリフのない数分間もスクリーンから全く目が離せない、というか飽きない豊かな時間だった。