ヨダセアSeaYoda

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

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【STORY】
 やっとできた友人がそれぞれの世界に帰り、心にぽっかり穴が空いたような感覚でヒーローを続けるマイルスの前にトリッキーな敵が現れる。
 別の世界では、同じような気持ちのグウェンが、スパイダーウーマンとしての活躍の中で悲劇的な状況に見舞われていた。
 前作を超えるスパイダーマンだらけの世界。大切なものを守るためには、マイルスは他の大量のスパイダーマンを敵に回さなければならなくなる…。

【REVIEW】
 "①現実で味わえない夢を映像という形で人々に見せてくれたアニメ" は、最近になって "②現実の世界を、現実離れした美しさ・スタイリッシュさで描くアニメ" や "③これまで想像する事もできなかった映像を人々に見せるアニメ" に分岐してきたように思う。
 今作はそんなアニメの手法①②③を、1作で全て同時に成し遂げてしまった。物語や全体的な出来で勝つならまだしも、"アニメ"として今作を超える作品が生まれるとしたら、それはどんなアニメだろう。今はまだ想像がつかない領域かもしれない。

 コミックやアニメ、サム・ライミ監督版、『アメイジング・スパイダーマン』、MCU版、そして前作『スパイダーバース』と、どのシリーズにおいてもスパイダーマンは "親愛なる隣人" として、誰もが身近に感じられる等身大のヒーロー像を人々に見せてきた。
 スパイダーマンはいつでも軽口を叩きながら、身近な人を守るために無茶をする人物像を期待されている。そんな彼が、大きな目的のために愛する何かを犠牲にしろと言われて黙って従うはずはなく、予告通り大量のスパイダーマンを敵に回すことになる。でも他のスパイダーマンが冷淡かというとそうは思わない。彼らにも彼らの守るべき "親愛なる" 人々がいて、他の宇宙なんかにかまけてられないんだから。
 駆け引きや余計な理屈の要らない、 "助けたい人を助けるんだ!" という分かりやすい行動原理。アイアンマンやバットマンではなかなか難しい、その単純過ぎる動きをヒーローとして許され応援されてしまうのが、若くて可愛くて無謀な、スパイダーマンというキャラクターの魅力だと思う。

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