シミステツ

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

ヒーローの多様性を引き継ぎながら世界が成り立つ上で「誰かを犠牲にしないと世界は救えない」という過去スパイダーマン作品の自己矛盾的、自省的な問いかけを立てられたことがこの作品の価値。セカイ系にも通底する、宿命的な犠牲と選択、倫理・哲学に近い問いに対して、大人になれば何となく理解し受け入れざるを得ない現実も、15歳のマイルスだからこそ納得いかないし、大切な人を守りたいし諦めたくないという想いを対峙させる。ヴィランのみならず大人VS子ども、理想VS現実の軸でも対立が見えておもしろい。犠牲となる「誰か」がもしも自分の大切な人だった場合、本当に綺麗事で世界を選ぶのか?ヒーローの中に垣間見える人間をも浮き彫りにさせるストーリー性に高く評価したい。

ネオンカラーの世界観を基調に現代性をMIXしているし、さまざまな画風、解像度にフレームレートで暴れ回る画面、これらが淀みなく画面上に同居することでいい意味で疲れるしこちらのCPUが追いつきませんといったような新しい映像体験、アメコミ感も相まってアニメーションならではのマルチバース感が上手く表せている点はアカデミー賞資格効果賞最前線では?という予感がする。
YouTubeの謝罪動画とか電車の窓ガラスぺろぺろとかちょっとしたミームも散りばめられていて楽しめた。めちゃくちゃ良いところで終わるのもさすがといったところ。最高の続編作だと思います。