Miver2

はりぼてのMiver2のレビュー・感想・評価

はりぼて(2020年製作の映画)
4.3
最初は思わず笑ってしまう所もあったけど、途中からはうんざりする位に日本の政治の縮図がここにはあって。
政治家の活動や理念を問いながら、最後はメディアの役割や有権者である自分達をも問うているように感じられた所もあって、とても面白かったな。

この映画を観ていて、最初から既視感凄過ぎてびっくりした。
安倍政権で見て来た事、そのまんまじゃんて思って。
でもそれが今の自民党政治なんだよなと思ったし、そこから怒涛の如く吹き出して来る数々の案件を観てると、目眩がしそうな位酷かった。

途中、当事者の議員さんがもっともらしい事を語りながらも、その表情が言葉じゃない所で語ってる所をしっかり捉えていたのがとにかく素晴らしかったな。
画の力、映像の力を改めて感じたし、それを身近な所でもっと感じられたら良いなあと改めて思った。

おかしな事ばかりが激しく噴き出して来る中で、手に入れたその立場を手離さない事の害悪ぶりが凄まじかったし、タチの悪いコントが現実を蝕んで行く悪夢がここにあるとも感じた。
映画を通して、エンタメとして映し出されている所もあるから"悪夢"として書いてるけど、その先の現実に繋がって行くとそこは地獄でしかないけども。
だってまともな奴が全然いないし、"不正"が職務の一環として行われている訳で、そんなのはありえないからね。

最後に急展開するあの終わり方は、中央で起こっていた事が地方に波及した事の結果がアレなんだよなと。
ある種そのやり方は一貫してるし、大多数の議席を確保してる政権与党のやり方の一部を改めて実感した所でもあった。

笑える所もある映画だけど、現在進行形で起きている様々な事がこの映画とあまりにも重なり合い過ぎていたりするし、最終的に降りかかって来る所は有権者である自分達だからこそ、なかなかキツい映画だった。
でも結局は現実をしっかりと受け止めなくてはいけないと思うし、だからこそ観て良かったなと思えた素晴らしい作品でした。
Miver2

Miver2