ルーク大佐

マイ・バッハ 不屈のピアニストのルーク大佐のレビュー・感想・評価

4.2
ひとりの音楽家に与えられた天賦の才と、課された宿命の重さに圧倒された。バッハ弾きの手練れとしてストーリーは進むが、むしろジョアン・カルロス・マルティンスの生き様はベートーベンに近い。

クラシック音楽マニアだが、正直このピアニストの名を知らなかった。
バッハ弾きといえば、カリスマ的な人気がありマニアックなグレン・グールドか、あまり奇をてらうことなく安定のピアノを聞かせるアンドラーシュ・シフあたりを聴くことが多い。

冒頭から駆け抜けるように波乱の人生を歩み、ピアニストとして名声を上げ始めたころに、悲劇に直面する。その後も、運命はマルティンスに途方もない難題をおしつける。

唐突に〝ゴールドベルク変奏曲~アリア〟が流れ、不覚にも涙が出そうになった。

実在の音楽家が苦難を乗り越え、不屈の精神で過酷な現実と闘う。
全編バッハの名曲が流れ、鑑賞後のカタルシスも最高だ。
ルーク大佐

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