生ける芸術を見ました。
幼少期の他人とのズレ、家族観のズレ
それらの正体は、全て「音楽」でした。
この壮絶な映画が、実話をもとにしたものであることが、
何より芸術的だと思います。
【ピアニスト】にとって指は命であるが、
【音楽家】にとっては、音楽という芸術を愛する心が命なのです。
彼のその愛に対して、音楽は必ず答えてくれます。
暗い話が出てくるシーンでは、
楽器や音楽が描写されておらず、
ピアノを弾いているジョアンは、幸せそのもので、
彼ににとって、音楽は「楽しい」ものであり、「喜び」そのものでした。
魅せる映画とはこのことでした。
そして流れてくる音楽は、クラシックに疎い僕にとっても、
耳心地の良いものでした。
「音楽という名の芸術に取り憑かれた天才ピアニスト」とも見れる内容でしたが、
僕は、「音楽に誰よりも愛された天才ピアニスト」と称したく思います。
そして、最後のエンドロール。
映画というのは結局は非現実的なものであり、
例えノンフィクションであっても、見終わった後では、どこかフワフワとした思いに
襲われるものですが、この映画に限って言えば、
このエンドロールのおかげで、より【リアル】に感じることができました。