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Rabbits(原題)のTnTのレビュー・感想・評価

Rabbits(原題)(2002年製作の映画)
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 なんとも掴み難い。いやリンチは全部そうか。

 リンチ特有のあらゆるものが接続してしまうというやり方を禁止するかのような固定ショット、更に演者に着ぐるみ(マルホランドドライブ出演陣に!?)を着せて演技を封じることなどが裏目に出たという感じ。元々は幾つかのエピソードに分かれてたものだから分けての鑑賞の方が適切かも。リンチ、短編は短編で尺の使い方全く変えてるから、上手いし。

 家という閉じた空間の不思議。世界と切り離され、そこだけで独自の空間が形成されている。時間が滞留してるようで、それを表すかのように各々が別の時間軸で話してるかのような会話が成される。バロウズ的なカットアップが日常に適応した形か。それはしかし、舞台上だけでなく観客席も澱んでいる。笑い声はいつもあらぬところに起きている。となると、閉ざされた劇場空間もまた現実から時間も断絶しているのかもしれない(映画館出てさっきまで晴れてたのにとか、もうこんな真っ暗!みたいなのは楽しいもんね)。

 こちら側が必死に繋がりを見出すのを諦めてしまう。リンチは大好きなんだけど、あんまりにも散漫だと謎に向かう意志も折れてしまう。まず何故ウサギなのか、男1女2の構造って何?あのロウソクタイムなんなん?みたいな。核みたいなものがあればなぁと。結局インランドエンパイアの一部位になって意味を成すことからも、今作も所謂断片に過ぎなかったとも言える。

 逆にアンビエント的に、それこそテレビを垂れ流すかのように流しっぱなしにする鑑賞が向いているのかもしれない。テレビドラマのように、どこの話数から見ても良いという仕組みには特化している。
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