半兵衛

クライ・ベイビーの半兵衛のレビュー・感想・評価

クライ・ベイビー(1990年製作の映画)
3.6
若き頃のジョニー・デップの不良ぶりと、漫画チックに描かれたアメリカの50年代カルチャーが楽しく愛らしい佳作。メジャー作品ということでジョン・ウォーターズらしい過激な描写は少なめだけど、ディープキスの場面を本当に役者にやらせる(しかも複数)ところは彼らしいと思ったりする。イギー・ポップの怪演も○。

ヒロインと主人公のドラマをクドクドと描かず、冒頭に出てくるジョニー・デップの眼でイチコロになりすぐに相思相愛になる展開がまどろっこしくなくて最高。ちなみに流し目で映画のヒロインだけではなくファンを喜ばせる役者は多数いるけど、この作品のように涙目(別に悲しいわけではなく、これが彼の決めポーズ)で登場人物の女性をイチコロにするのは本作ぐらいだけでは。

主人公を含めた不良たちが仲間と悪のりする序盤は楽しいのだけれど、後半ジョニーが刑務所に入れられたり、恋愛のすれ違いをクドクドと描くのでテンションが少し下がるのが残念。それでも主人公を助けるため不良仲間がヘリを操縦して刑務所に突入する無茶苦茶なシーン(結局失敗する)や、空を飛んでジョニーのところに向かうヒロインのギャグマンガばりの抱擁シーンは面白いけれどね。

あと特典映像に収録されている当時の不良映画の映像を見て、ジョニー・デップたち扮する不良の格好を本当にやっていたことがわかる。それと当時人気があった不良映画の俳優が白木みのる並のベビーフェイスなので驚く、愛嬌のある顔立ちと言動のギャップに人気が高まったのだろうか。確かに実際の不良にはそういう奴がいるけれど(『仁義なき戦い』の梅宮辰夫のモデルもそう)。
半兵衛

半兵衛