ミシンそば

眼には眼をのミシンそばのレビュー・感想・評価

眼には眼を(1957年製作の映画)
3.3
久々に平日に風邪引きました。
このところの気候は本当に体に堪える。
それはそれとして、本作は今回で三回目の鑑賞。
体調が悪い時に観るもんではないなぁとは思っていたが、逆に今かな?とも思ったので観た次第。

仕事を終えて家で寛ぐヴァルテル医師。
疲れからか、自宅に直接やってきた妻が急病状態にある夫婦を帰してしまう。
そこから妻を亡くしたボルタク氏に付き纏われることとなる恐怖を描いたスリラーだが、まぁ復讐の映画と言うより逆恨みの映画だわね。

フランス委任領だったこともあるシリア(レバノン?地理がよく分からん)が舞台で、主人公ヴァルテルもフランス人で西側諸国の人間も結構多く出てきたのにはやはり時代を感じる(イスラム教徒の描き方にそこまでバイアスを感じなかった点にも)。
そこまで好きなタイプの映画ではないが、ラストに感じられる絶望感はやっぱり凄まじい。

ハンムラビ法典の「眼には眼を(歯には歯を)」は本来、過剰な報復を避け戒める意図がある(報復の仕方やその程度は、受けた被害と同等でなければならない)が、そうはいっても人間はそこまで完璧な生物ではないし、割り切れるボルタクも、素直に許しを請い罪を感じるヴァルテルも、この世界(映画のみでなく現実にも)に存在しないのよな。