シミステツ

もう終わりにしよう。のシミステツのレビュー・感想・評価

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
3.4
雪の日の車内。
ルーシーはジェイクと別れた方がいいのか、でもいいところもある…。ひたすらにジェイクから心が離れている描写とそれでも褒める描写が繰り返される。

ジェイクの実家に向かうも、彼は羊小屋を見せたがったり、家にやって来ても両親もなかなか降りてこない。謎の引っ掻き傷のある地下室など、不可解な点が多い。ジェイクの母親も若返ったり、老いていたりと時間軸も揺らぐ。

時折何度もかかってくる電話は「現実」のモチーフかなと思う。客観的な現実は存在しない、脳の中にだけ存在する、という台詞があったように、すべては妄想の中で展開されているような。

現実と妄想、表と裏があるのは理解できたけど、ずっしりと不気味な世界観とともに理解できなさが蔓延していて辛かった。原作も難解だからこそ映像化は難しいんだろうなという感想。人間誰しももがきながらかろうじて生きていて妄想の中に生きる、そんなことはもう終わりにしよう。
最後のダンスシーンは美しかったです。

「与えられたもので生きるだけさ」