東雲

アジアの天使の東雲のレビュー・感想・評価

アジアの天使(2021年製作の映画)
4.2
冒頭で何度も語られる相互理解の重要さ。
昨今の日韓関係が冷え込んでいる背景も関係があるのだろう。天使の姿が個々で違うのは互いの思い込み、即ち"相手に対する偏見"のメタファーか。まさか天使描写があり、それが...という斜め上の発想があるとは夢にも思わず意表を突かれたがそれはそれで一種のユーモアとして楽しめた。
学が終始一度も話さないのは何故なのか。
始めからか。母親を亡くしてからか。それともこれも"お互い話し合いをしない"ということのメタファーなのか...。
他者を理解する事。これがこの映画の根底にある強いメッセージだと思う。それが終盤に行くほど分かりやすいくらいに伝わってくる。中盤〜終盤の妹のように空気を読むということも他者を理解していなければできないこと。
内容自体はどちらかというと重い方にも関わらず、終始コミカルでユーモアの溢れている世界観だったので、優しく、それでいて温かかった。"笑えて泣ける"という言葉がぴったりの作品。この辺りに関してはオダギリジョーは本当に適役だったと強く思う。
最後の終わり方を"観客の皆様のご想像におまかせします"というスタンスでなければ尚良かった。好みは分かれると思うが、私はかなり好きだった。
誰かに誘われてもう一度観ることになったとしても私は喜んでついていくだろう。
東雲

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