このレビューはネタバレを含みます
テレビでやってたので観ました。
ストーリー
祖母と3人で平凡に暮らしていた姉妹が、ある日、黒い箱を見つけたことで恐ろしい現象を巻き込まれていく。感受性の強い妹からおかしくなり、彼女たちを取り巻く人達にも次々と不幸が振りりかかる。やがて、孤立した姉はその原因が富士の樹海に原因があると分かるのだが…
感想(ネタバレがあります)
本当のところ、犬鳴村の方に興味があったのですが、偶然やっていたので、こちらを先に観ることとなりました(笑)
怖いというよりも悲しい話でした…
黒い箱は得体が知れないし、気持ち悪いし…ですが、真実を知れば、ただ、ただ、悲しく辛い連鎖でした。黒い箱が誕生した原因は、障害者や老人、精神疾患者など、この世で生きにくい者を神のもとへと還すといった風習にありました。ですが、神のもとへ還すとは聞こえのいい言い訳で、ただ、邪魔な人間を深い森の中に捨てていただけなのです。現代では考えられない風習ですが、自給自足が当たり前の時代、人の助けを必要とする人たちを養う余裕がない集落ではそういう事があったのでしょう…。他の人間が生きるために仕方ない犠牲とは決して言えませんが、捨てた側に対して「ひどい！」と責めることもできませんでした…。だからこそ、捨てられる人たちの嘆くシーンは、どうしようもなく泣きそうになりました。そして、彼らの憎悪や寂しさが黒い箱を生み出した理由なのではないかと思いました。
また、母の愛や姉妹の絆にも泣きそうになりました。子供を守るために死を覚悟して、娘たちを先に行かせた母親。姉を庇い取り込まれた妹。取り込まれた後も、「なぜ来たのか」と怒り、娘(姉)を必死に逃がそうとした母親の姿。姉やその娘を守るため、黒い箱を無邪気に追ってくる姪っ子に「来ちゃダメ」と言う妹の声。とても切なくなりました。そもそも、黒い箱は、突然出現し人を取り込む仕組みのはずなので、姉の娘が黒い箱を探し回っていたのは、黒い箱が妹の意志の元、逃げ回ってたのかなぁと感じました。
ホラー目的で観れば、正直、評価が低くなります。ですが、物語として観れば考えさせられる映画だと思いました。
