ヒロシー

ウルフウォーカーのヒロシーのレビュー・感想・評価

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)
4.5
2Dアニメーションの魅力にあふれている。狼が走るとき、少女が躍動するとき、下書き線までが一緒に動き出す。この物語の根元が揺るがされる時、暴力によって怒りや悲しみが湧き立つ時、溢れる怒りや涙が並大抵の映画よりもずっとこちらの感情を揺さぶるのは、全てのアニメーションが流れるような線の動きで構成されている、という事実に自覚的からだ。例えば葉っぱが落ちる軌道も線を描くように、坂道の奥から兵士たちが揃って行進してくる登場も新しい線が現れるように、その自覚的な姿勢にまずもって感服してしまった。

文化や自然、人間に限らず生物の尊厳を脅かす恐怖を容赦無く描き、一方でそれよりもはるかに壮大で美しい自然や神話、物語を見せつける。カートゥーン・サルーンのケルト3部作の簡潔にして集大成。そしてガール・ミーツ・ガールな物語なのも必然性がある。必見。詳しくはこの対談で全部語られていますね(https://cinema.ne.jp/recommend/wolfwalkers2020102907/)。
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