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ショック・ドゥ・フューチャーのenniのレビュー・感想・評価

4.6
スペースエイジインテリアに目がないこちらといたしましては、70年代のイケイケなお部屋を拝見出来てとても良かったです。フレンチギャルな主人公も良かった。
ガチコックピット並みの機材からカセットテープ、レコード、ラジオ。様々な媒体を通して目に見えない自分の好きな音楽のコアの輪郭をなぞっていく、主人公やレコードマニアの友人の音楽への熱意は憧れる。
業界の中で立場の低い人間にとって大物からの評価は鶴の一声のように一瞬で世界を変える。末端の人間全員の熱意やかけてきた時間も知らない中で結晶として出てきた作品一つを自分の好みかどうか、馴染みがあるかどうかで判断することもあるだろう。本作で言えば女であることも判断材料としてあったみたいですけど。どうしても自分の好みや感性を否定されると頭をぶん殴られたように辛くて、自分の育ててきた可愛い存在の作品をボロボロにされた気分になる。それが痛いほど伝わった。自分の城は自分で守りたいね。
ボーカルの女性との女女な関係は最高に良かったね。リアルな制作過程を見れた気がして興味が湧いた。歌詞を生み出す過程や録り直しを繰り返していく細々した作業を楽しみながら行う彼女達の突然、でもしっかりと結ばれた熱意にじんわりした。
さっぱりしててすぐに終わっちゃったけど、アナの一日だと見ればお腹いっぱい。急展開ありありの人生の1ページ。特別音響のシアターで爆音に包まれながら全身スペーシーな気分になれたので大変満足です。
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