緑

そこにいた男の緑のネタバレレビュー・内容・結末

そこにいた男(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

新宿ホスト殺人未遂事件がモチーフ。
再現ドラマの俳優をしているショウが
番組制作スタッフのサキを引っ掛けて
貢がせて女の存在がバレて殺される話。

今作も部屋の作り込みがいい。
あの暗さと雑然とした感じが
サキの安定感のなさに通じている。
私だけがわかってあげられるという思考。
手首の代わりに二の腕上部にたくさんの切り傷の痕。
承認欲求の権化。

ショウはガチのクズ。
妊婦の嫁がいるのにサキに会ってはあれこれ集る。
本名も教えない。
15万のジャケットはクソダサい。

浮気に気づいたショウの嫁がショウの腹に鳩などの落書き。
それをサキに責められて逆ギレ。
落書きの中にあったハートマークで括られた
「げんた」の文字。
眠っていた彼に「ショウ」と呼びかけてもノーリアクション、
「げんた」と呼んで返事をされたことでサキ逆上。

サキの取り調べに当たった女性刑事は知らない役者さん。
存在感ありすぎてもう存在が圧。
男性刑事の松浦祐也は穏やかで圧はなく、
女性刑事といいバランスの取り方。
スクリーンに松浦はいなくて声だけ聞こえるシーンで、
この人の落ち着いた口調のときって
かなりいい声だな!! と初めて気づいた。

作品の構成はやや複雑で、
事件直後
→サキとショウの出会いから事件
→サキ逮捕/取り調べ
→収監(拘置所かも)でショウ嫁と対面
→貢いだ車で目覚めるサキと近くの自販機前にいるショウ

夢オチだけど悪夢が悪夢で終わらず
現実になる雰囲気を強く残して終幕、と解釈。

で、上映後舞台挨拶。
司会は本作プロデューサー、
登壇者は本作の片山監督と
ゲストに来週公開「滑走路」の大庭監督。

ショウに缶コーヒーをもらったことで
サキが救われたという話で
ラストの捉え方に混乱してしまった。
その後監督に確認したら、
ラストシーンは事件前の幸せな時間とのことで、
事件が起きなくなる訳ではないそうだ。
自販機の下に落とした小銭を拾おうとする
ショウの半ケツはみ出た姿にサキの恋が冷めればいいのに。

その他、舞台挨拶でのこと。

監督曰く、取り調べ室で聞こえる鳥(鳩)の声、
ショウの腹に描かれた鳩は、
キリスト教的には鳩は生の象徴であることを意識。

司会が「滑走路」の話をしたがっていて非常に萎えた。
今観た作品の話を終えてからの告知でいいじゃないか。
「滑走路」の話をするよう振られても
「そこにいる男」の話を続けた大庭監督には
とてもいい印象を持った。
緑