きー坊

私をくいとめてのきー坊のネタバレレビュー・内容・結末

私をくいとめて(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

2020年266本目。東京国際映画祭で鑑賞📽

【感想】
1.ふと襲ってくる孤独
みつ子が孤独に襲われているであろう瞬間の佇まいが印象的だった。特に、多田くんが帰った後、1人洗い物をするみつ子の姿。浮き足立った気持ちが引いた瞬間、孤独がドッと押し寄せてきたようで、瞬間的に感情の波が寄せては返す様を見たように感じられた。

2.振りかざされる鬱屈とした部分
商店街でみつ子とすれ違う人々の心の声とか、お笑いライブ観た後のみつ子の内から吐き出される毒々しさとか…それらのシーン見た時、今まで生活している中で感じた理不尽さに対する嘆きで、心の底から「わかる」となってしまった。特にお笑いライブ観た後のシーンは、みつ子の内にある毒々しさが湧き上がって感じがした。何なら相談員Aが突然消えた時を回想(?)したシーンは、最早みつ子が狂気を振り回してきたように感じられた。

3.半径を少しずつ押し広げる
みつ子が距離感に困惑している様は、反応としてはあり得ることだと思う。肝心なのはその困惑への対処で、その対処の仕方で自分の在り方も変わるってことを終盤のシーンから教わった。
全編を通して「自分の心理的安全性を保っていれば傷つくことはないけど、それを押し広げれば新たな喜びに出会う可能性もある。どっちを選ぶかはあなた次第だけど、どうする?」ってこの映画に問いかけられてる気がした。いきなりグッと広げる必要はなくて、少しずつ押し広げながら自分にとっての幸せを見つけていきたいとは思う。

舞台挨拶で印象的だったのは、のんさんが「原作を攻略本のようにして読んで、みつ子が買いそうな雑誌を買って見て、買いそうなものには丸をつけていた」という趣旨の発言。役のイメージをじっくり膨らませて、役を作り込むタイプなのかなと思ったし、大九監督も仰っていたけど「職人」タイプの女優なんだなと感じた。

少し前の私ならみつ子に概ね共感してたかもしれないと思うあたり、自分の属性・時々で置かれている状況によって捉え方がだいぶ変わる気がする💭

確実に言えるのは「勝手にふるえてろ」が合う人には間違いなく合う🎬
きー坊

きー坊