このレビューはネタバレを含みます
サブリナ・カーペンターの魅力満載だ。
小さくて少女のような彼女の少し大人っぽいセリフ(声)がいいのね。このギャップがいいと思う。
というかこの少年少女のドラマは、ほとんどジャリみたいなものだ。それなのにこれほど大人っぽく表現できているところがすごい。
母子家庭で育った少女、という設定がいい。母親から父親の出た大学を目指すよう諭されて、そのことだけを目標に生きている少女が、大学の面接で勢いあまってダンスチームを作る約束してしまう。
という、まぁ学園ものとしてはありきたりのドラマとも言えるのだが、主人公の少女が強豪ダンスチームに対抗して、自らチームを作って優勝するまでの紆余曲折が面白くて健気なのだ。
あまり強く示されていないことだが、主人公の白人少女が少し大人の黒人男性を好きになる、という関係は昨今の人種間格差などに配慮したものだろうか。Netflixのシリーズもので『ブリジャートン家』という貴族のドラマがあるが、これもまた同じ。肌の色を超えて恋愛感情が生まれる、という展開は昨今とても多い。そういうことを気にする方に偏見があるのはわかっているが、長く映画を見てきた者としては、黒人の役を白人が肌を黒く塗って演じていた、いわゆるホワイトブラッシュを思うと、昨今のこの傾向はブラックブラッシングだ。そしてその先には言うまでもなく、アメリカを分断に導いた先の大統領をターゲットにしていることをも連想させる。勘ぐりすぎだろうが、なんとなくそう思う。
ダイアン・キートンとモーガン・フリーマンが夫婦役を演じた映画が公開されたのが2014年だから、今やもうそうした肌色の境界は消えている。
この映画のダンスチームが様々な人種やキャラで集うのはいい。主人公の大親友となる黒人の少女もまたいい。そういえば『フラガール』が思い出される。同じ国で肌色は変わらなくても、様々なキャラクターが同じ目標に向かって進む姿は美しい。