蜘蛛マン

ヘイターの蜘蛛マンのレビュー・感想・評価

ヘイター(2020年製作の映画)
3.8
かなり現代的で面白かったです。
普段なかなかお目にかかれないポーランド映画だが、ヨーロッパにおける分断の根深さがよく分かる良作だった。
難民の増加に伴う極右の台頭と、その背景にある上流階級や彼らが発する理想主義への庶民・貧困層の憎悪が、主人公の歪んたプライドと怒りと嫉妬の拡散を通じて現れる。

SNSを駆使したフェイクニュースの拡散と操られるポピュリズムは民主主義国家共通の課題だと思うけど、一人の個人の悪意が多大な影響を及ぼすことも問題だし、庶民層・貧困層の相対的剥奪感がその悪意を雪だるま式に大きくしていくことも問題だ。

本作ではその構図を落ち着いた、ある意味冷徹なトーンでラストまで描き切る。
主人公役の、一線を越えていくたびに目つきが悪くなっていく演技も良かった。
蜘蛛マン

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