すずや

ノマドランドのすずやのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
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こんな田舎県のシネコンでかけてくれるだけで本当にありがたい…って思ってたら公開2日目にして貸切だった。TIFFのチケット瞬殺を見てた身としては寂しい。だけど、やっぱりこんなところでもちゃんと掛けるべきだと思ったし、見て欲しいって切実に思った。

The Riderから続く監督のクィア観が如実に現れでてたように思う。The riderと同様、ノマドランドもまた、「人生に何が起きようと、それが何かを諦める理由にはならないし諦める必要も無い。何より生きなきゃいけない」っていうクィア観だったように思えた。
ファーンが置かれる状況はいわば理不尽。これまで通り、社会において"普通"とされるような生き方はできないし、彼女はノマドとして生きることが生きていく上で必要だっただけ。
この映画は、「ノマドとして生きることは素晴らしい」ということを、大手を振って全肯定するわけではないけれど、ファーンがノマドという生き方に馴染んでいくなかで、彼女なりの「こう生きていこう」という生き方に対して肯定的であったように思えた。
マジョリティからマイノリティへ、やむを得ずとはいえアイデンティティが微妙にうつり変わっていく、その描写がThe Riderからずっと、ほんとに好きなんだな…これから先の監督の映画もそういうマイノリティ観と共にあるならすごく楽しみ。

音楽、サントラを3ヶ月くらいずっと聴いていたのだけど、映画館でみてみると、流れ出したことは意識できても、気づいたらそのメロディが終わってて結構びっくりしたんだよね…優しいピアノのサウンドが良い…
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