又野克明

ノマドランドの又野克明のレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.5
最初、見る前は「ほんとうにこの映画いいのかな」「むずかしい内容なのかな」となんども疑っていたが、いざ見てみると、分かりやすく、そしてそこの点で映画として感銘を味わえた。

やはり、映画も内容を把握できなければ面白くない。内容が理解できて、初めて作品は成立する。

とにかく、映像が美しい。ファーンという60代の女性が、夫と別れた後、ノマドという移民生活の現代版を、キャンピングカーで経験する。先ほど、映像が美しいと言ったが、とにかく風景描写がなんとも言えない、人生のすごみを想像させる。

あくまで、自分は映画に関して素人だ。しかし、素人でありながらも、映画を見て受ける感銘は、その映画のちからでもって、私たちに不思議な捉え方を与え得るのだ。

ファーンの姿出で立ちは詩人を思わせるものがある。映画は詩であるか?という命題とともに、この作品は我々に考えさせていく。

映画は具体的に我々になにを考えさせるのだろうか。それは、もちろんそれぞれだ。しかし、そのそれぞれが私たちに与え得るものに、私たちは共通のものを感じるべきではないのか。

この映画にも十分、ありがたみをもっている。
又野克明

又野克明