エンドロール観たら登場人物の殆どが本人で驚いた。映画自体も主人公ファーンが道中出会うノマド生活者の語りが多く盛り込まれたドキュメンタリー風の構成になっているけど、ここまでくるともうドキュメンタリーな気がしなくもない。
車に必要な生活用品一式を積み場所を転々としながら短期労働をする生活様式や、そうした人々を支えるグループの存在など、ノマドの日常や生き方は見ていて新鮮だった。また人々との温かい交流といった明るい側面だけでなく、金欠や警察絡みのトラブルや偏見、ノマド生活者に白人以外の有色人種が殆どいない事実など暗い側面も取り上げながら、「自然サイコー」とか「資本主義くそくらえ」みたいな単純な説教やメッセージで済ませていない所が良い。
そしてファーン同様経済的な事情でノマド生活をせざるを得なくなった人だけでなく、自ら望んで始めた人も少なくない事も驚いた。各自の背景にある哀しさや孤独もそのまま盛り込んでいるお陰で、豊かさや幸せな生き方について色々と考えさせられてしまう。道中美しい自然の風景が沢山出てくるのに、最後に見せられるのが殺伐とした荒野というのも印象的。
