Kenji

ノマドランドのKenjiのネタバレレビュー・内容・結末

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

夫を亡くし、リーマンショックにより家も無くした60代の女性ファーンは僅かな荷物を携えてヴァンで旅をしながら仕事をする生活を送るのでした。

本作は、キャンピングカーやヴァンなどでアメリカ国内を旅をしながら生活をしていく現代のノマド(遊牧民)の生活模様を映しながらアメリカの雄大な景色をとても綺麗に映しており音楽も良かったです。
ドキュメンタリータッチで描かれていて、淡々と静かに物語が進んでいくのが印象的でした。
ファーンの夫を亡くして立ち直れない気持ちもありつつも精一杯に生きていこうとするファーンを演じるフランシス・マクドーマンドの演じ方も、情緒深くて観入ってしまいました。

そしてこの作品の極め付きは、実際にノマドとして生活している方々をキャストに据えているところでした。
本人として出演していることへの説得力のある台詞や描写などがありました。
特にシャーリーン・スワンキーの燕の巣が連なっている光景を見てみたいと切実にファーンに語るシーンに涙しました。

そしてもう一人、この物語に深みを与えていたデヴィッド・ストラザーン演じるデイブです。
彼は、家族と離れ離れで暮らしていましたが息子が迎えに来たのを機に住んでいたヴァンでなく息子夫婦と暮らすことになるのでした。
ヴァンが放ったらかしになっているシーンでのファーンの寂しさがありました。

最後に、元の家に立ち寄り倉庫に残っていた荷物を業者に持って行かせたあと旅をするシーンで終わりました。

ノマドは、別れの際に「さよなら」ではなく「またいつかどこかで」と人の縁を感じる挨拶なのも魅力的でした。

フィクションながらもドキュメンタリーで、背景も撮り方も美しく映画としても1本で纏められていて良かったです。
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