【撮り溜めたWOWOW映画 VOL.15】
クロエ・ジャオ監督
「またどこかで」
“See you down the road.”
バン1台でアメリカの地を移動し、単発の仕事をしながら生活する、放浪者(ノマド)の姿を映すロードムービー。彼らの生活をリアルに描いており、ほとんどノンフィクションでした。
こういうタイプの映画は本来苦手ですが、深く沁みる映画でした。
流石、アカデミー賞受賞作。
アメリカの各地を巡り、荘厳な大自然の力を感じるのは憧れるし、何と言っても日々表情を変える空模様が美しい。(自分は将来、車を借りてアメリカを横断する旅を夢見ていますw)
実態は苦しいけど、出逢った多くの人と苦しみを分かち合い、endlessな旅というのが素敵でした。
セリフも印象に残りました。指輪の話も好きですが、下の言葉も深くて好きです。
「家とは心の中にあるもの」
“Home is it just a word? Or is it something you carry within you?”
自分の心に従って、生きる。建物というただの箱ではなく、そこにいて本当に安心できる心の拠り所ーそれが家なんだ。
世を生きるのに必要なのは、頭脳ではない。生き抜く知恵や知識。ファーンは、各地で出会ったノマドたちにたくさんのことを教えられ、一人で生きてきた。ちょっとした工夫でうまくやれる。
私的なことにはなりますが、自分の祖父は生前、できないことはないと言うほど様々なことができ、人生の多くを心得ていました。生きていく上で活かせる知恵も、たくさん教えてくれました。
鳥や虫、花の名前や特徴、「夕焼けが綺麗な日の翌日は雨が降る」「ツクツクボウシが鳴くと夏が終わる」などといった天気や季節の話などをしてくれましたし、虫眼鏡で雪の結晶を一緒に見たりもしました。そんな祖父を今でも尊敬しています。
祖父は、頭こそ多少良かったですが、知恵の豊富さは遥かにそれを超えています。
人生は頭の良し悪しではなく、知識・知恵を持っているか。そんな祖父の教えを、本作を通して考えることができました。