KeiRalph

アイダよ、何処へ?のKeiRalphのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
3.8
 事実に基づく物語系。にしても、そんなに古くないごく最近の話。しかも、アウシュビッツのような非人道的行為。25年も経ってようやくこの事実を把握した自分を恥じる。

 ボスニア内戦により市街地を追われる事になった市民が国連施設に避難。2万人を収容できる場所がないと、大半の市民は敷地外で足止め。施設内に避難したとしても、補給物資もトイレもベッドもなし。この時点で、目論見の甘さや人権の軽視が露呈してますが、作中のあらゆる場面でも、女性への偏見が語られています。

 主人公のアイダは国連の通訳としての職員の資格があるため国連側の保護の範疇にありますが、家族は一市民でしかないため、あらゆる手を尽くしてセルビア側の脅威から逃れようとします。その八面六臂が大変な肝っ玉母さんぶり。とはいえ、家族の命を救えるのは自分しかいないとなれば当然の行動ではあります。

 とにかく、国連側の無策っぷりに素人の私も閉口する他ないですが、国連本部からも何らサポートがないまま、市民を飢え死にさせるだけの状況を打破する為には、セルビアの口車に乗らざるを得ない状況。部屋に閉じこもった大佐の気持ちはわからないでもないが…

 その後に起こる怒りと悲しみの現実。再び平穏が訪れるが、力及ばす、家族を亡くしたアイダには取り戻す現実はもう戻らない。教師として子供らを見つめる表情が全てを物語る。

◯ベストシーン…
 「こんな時になんで生まれてくるんだ!」と嘆きながらも、しっかり出産の手助けする国連の医師
KeiRalph

KeiRalph