どらどら

アイダよ、何処へ?のどらどらのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
4.7
- It is perfectly controlled.

「完全にコントロールされている」
アフガン撤退時に米国が繰り返した言葉
飛行機から落ちていく人々

「市民の安全は確保されている」
タリバンが繰り返している言葉
殺害される、無辜な音楽家

この映画でも同じことが繰り返される
「コントロールできている」とのたまう国連はその無関心と無力を露呈し
「市民の安全は確保する」と言うセルビア軍は平然と虐殺を繰り返す
世界の無関心のもと、大量の人々の命と尊厳が踏み躙られていく

アイダの冷たい視線は私たちに向いている
無力な国連の裏で、安穏と、無関心の上に成り立つ平穏を貪る私たちに
アイダの視線は重なる
ミャンマーで、ベラルーシで、アフガニスタンで、怒りと絶望の視線を向ける彼らに

アイダと共に怒る資格はない
アイダの目は我々に向けられているから
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圧巻
息もつけない緊迫感と切迫感
この映画の険しさ、観るものを拒絶するような怒り
MINAMATAとの距離を感じる

世界はこの時からなんら変わっていない
これを悲劇として片付けてはいけない
人間が起こし、人間が死んだ事件だから
世界をどう観るか、突きつけられる
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