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アイダよ、何処へ?のcinecoroのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
4.3
ナチスドイツによるユダヤ人迫害を描いた作品は数多くあれど、民族排除の歴史が未だ更新され続けていることを確信させられる。特筆すべきは本作は暴力描写はほとんどない事で、実際には2万人の女性や子どもたちの不安気な表情が多く映される。
非常時に日常を続けようとがんばるように洗濯をする女性が印象的。
かつてのクラスメイトや教師と生徒といった関係の同言語を話す彼らが、隣人を殺せ、異教徒を締め出せ、というアナウンスによって虐殺に至る心理は到底理解を超えているが、ここ日本での外国人排除、種の保存発言やあらゆるヘイトの発信を見ていると火種は同じものである様に思える。

2人いる息子のうちどちらかひとりでも助けて!と思わず息子の前で国連側に哀願してしまうアイダ、のところで手が震えた。
例え利己的に写っても母親は子どもを守る。そんな当たり前の状況をこんな極限下で試されてしまう壮絶さに悶絶してしまいそうだった。
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