緑

親愛なる同志たちへの緑のネタバレレビュー・内容・結末

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

前半は体制側にいる
シングルマザー主人公を通しての
ソビエトの民衆の暮らし、
工場でのストライキ/暴動を経て、
後半は行方知れずの娘を探す主人公を通しての
レーニンや共産主義への疑念。
既婚彼氏に物価上昇や物の少なさを
愚痴っていたあたり、
潜在的に主人公は体制に不満あり。
でも他者の愚痴には厳しく当たる。

ラストは、暴動鎮圧のためKGBが行った掃射で
死んだと思っていた娘が見つかり、
抱きしめながら主人公が言い聞かせる
「大丈夫よ/良くなるからね」。
娘にというより主人公自身に
言い聞かせているように思えた。
それにしても空虚の極み!(褒めてる)

ベンチの影で母犬が子犬たちに
授乳しているシーンのみほっとできたが、
それ以外は緊張感ピリピリ。
モノクロなのが効果的。

一番怖かったのは、
掃射で民衆が殺されるシーンでも
遺体をトラックに無造作に積むシーンでもなく、
その直後に血を洗い流すために
水を撒いたところ!
作業の進め方がスムーズすぎるせいで
ソビエトの在り方が明確に示されて恐怖!

市街に遺体を埋めた警察の人が
主人公と行動を共にするKGBに繰り返す
「誰にも言わないでください」が執拗で、
これもまた恐怖。
しかも案内させられた墓地から
一緒に戻ってきた気配もなく、
置き去りにされたのか、
その場で殺されたのか……恐怖!

親切なKGBは主人公に惚れたのだろうか。
「恋は魔術師」がヒントっぽいけど
観てないからわからない。

数日間の出来事であり
要素が絞り込まれているため、
当時のソビエトの空気が
とっ散らかることなくよく伝わった。
緑