旅するランナー

親愛なる同志たちへの旅するランナーのレビュー・感想・評価

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)
4.2
【親愛なる同志、それは塚口サンサン劇場】

塚口サンサン劇場のメール会員になると、誕生月の1か月間、映画を1000円で鑑賞できます。
6月生まれの僕は、その恩恵を現在受けています。
「トップガン マーヴェリック(特別音響上映)」も1000円で観ることができました。

驚くことに、お連れ様何人でも1000円なのです。
(100人も連れてこられたら、さすがに困るみたいには書かれています)
さらに70ポイント(7000円分)貯まると1本無料鑑賞でもあります。
なんて太っ腹なんでしょう!
ありがとう、親愛なる同志よ!

さて、この映画は、1962年6月1日からの3日間が描かれています。
フルシチョフ体制下のソ連で起こった、ノボチェルカッスク事件。
物価上昇と賃金カットへの不満からストライキを起こす労働者たち。
軍部が鎮圧に動員され、抗議デモに集まった一般市民に発砲。
KGBも暗躍していたようです。
このことが国内に広まることを危惧した共産党は、何もなかったように全てを封印します。
なんて腹黒いんでしょう!

この出来事を、熱心な共産党員であり市政委員でもある女性の目を通して描いていきます。
当初は「労働者全員に厳罰を!」なんてバリバリの政治的姿勢を取っているんですけど、発砲現場で巻き込まれたであろう娘さんの安否確認に奔走し、共産党の隠蔽工作を目の当たりにするうちに、信じてきたものがぐらつき始めます。
主義と母性の葛藤。
「共産主義以外何を信じればいいの!」という叫びが効いています。
広場での銃撃シーンにおける、美容院内からのカットなど、映画全体を通して、巨匠アンドレイ・コンチャロフスキー監督の技が光る良作になっています。

2022年6月、日本も物価が上がり始めています。
どうなっていくのか心配ですね。
僕も、これ以上映画鑑賞料金が上がって2000円とかになったら、暴動を起こしそうです。
まあ、我らが塚口サンサン劇場は、そのような暴挙には出ないでしょう。
信じてます、親愛なる同志よ!