あかっか

親愛なる同志たちへのあかっかのレビュー・感想・評価

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)
3.5
2023_079

思想と心情

教育と洗脳

希望と絶望


東西冷戦下の1962年、ロシア(ソ連邦)南部のノボチェルカッスクという町で起きたソ連邦崩壊後の1990年代まで約30年間隠蔽されていたとされる虐殺事件を描いた作品。

こんなことが、という明かされる事実と、共産主義者としての生き方と、親として娘を思う気持ちとが交差する。祖国を冷静かつ批判的な視点で捉える監督は素晴らしい仕事をしたと思う。

美しいシーンは光の暖かさで、残虐なシーンは冷静さで、時折定点で鋭くただ事実を写し出すといったシーン毎の違いに拘りを感じた。

ただこの様な話をこんなに美しく(あくまでも映像的に)描いて良いのか?という疑問は残った。

ラストは秀逸。あのセリフの選択は希望を見せるが実際の所KGBはそんなに甘くないよなあ。背筋が寒くなる。

さて、今の日本はどうだろう?隠蔽や密告、冤罪。正しい国と思想と教育。もはや他人事ではない気がする。
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