りっく

わが青春のイレブンのりっくのレビュー・感想・評価

わが青春のイレブン(1979年製作の映画)
3.0
永島敏行という俳優は70年代青春映画の主演を何故か務めることが多い。そしていつもその青春は鬱屈としており、悶々としながら恋心を抱き、あるいは社会や大人に反抗し、やさぐれて不発に終わる。そんな残尿感は本作も同様だ。

今であれば永島敏行のような意見が世間の大半であろう。しごきや猛練習は体罰やいじめとみなされ、部活動でケガをした程度で断罪される世の中。歴史や伝統を盾に、まさに軍隊のような規律とそれを乗り越える同士感情を生み出すことでチームを統率しようとする教師。それに楯突いてみせる。

ただ物語の展開は非常に鈍重で、永島敏行は恋心を抱きながら、大人に楯突きながら、結局何をどうしたいのか分からない。それが八方塞がりな青春時代を象徴してれば良いのだが、そこまで深く描けていない。ラストもチンピラに絡まれボコボコにされながらも競技場の階段を登るところでぶつ切りにされて幕を閉じることにやや呆気にとられる。
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