相馬いと、16歳、高校一年生。
いとは、そもそも内気な性格の上、一緒に住んでいる祖母の影響からなのか、強烈な津軽弁であるが故に、言いたいことも言えず、孤独で友達もいません。
かつては、祖母そして亡くなった母の後に続く、優秀な津軽三味線の演者でしたが、モヤモヤとした日々の中で、いつしか三味線も弾かなくなっていました。
何のやる気も湧かない中、偶然見つけた高額アルバイト〜それはメイドカフェ。
初めは、恐る恐る働いていたいとでしたが、メイドカフェで働くシングルマザーの葛西や漫画家志望の横田、店長の工藤の他、一風変わった常連客との関わりの中で少しずついとは変わっていくのです…
舞台は青森、津軽弁…特におばあちゃんのセリフはまるで外国語のようで、何を言ってるのかほぼほぼ分からず…ただ、それでイライラするのかというとそうではなく、耳に心地よく、音楽のように聞こえてくるのです。
私は九州出身ですが、南国の方言とはまた違う音の響きを楽しんでいました。
いとの訛りは、本当に強烈でその訛りは、いとがモノを言えなくなった原因の一つなのですが、いとを演じた駒井蓮は、言いたくても言えない感情の機微を表情だけでなく、身体全体で表現していまして、また新たな魅力を持った女優の誕生を目撃しました。
本作は、原作小説があるそうなのですが、小説は未読です。
特に派手な展開がある訳ではありませんが、青森の美しい景色を背景に、実に超どストレートな青春映画と言えます。
いとが津軽三味線で爪弾くその音色は、物悲しくも美しい旋律…