MasaichiYaguchi

ビューティフル ドリーマーのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.5
映画実験レーベル「Cinema Lab (シネマラボ)」の第一弾は押井守さん原案のストーリー「夢みる人」の映画化だが、本作には同じく押井守さんが監督した「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」をはじめとした様々な作品のオマージュが登場して映画愛に溢れている。
本作では、今まで映画製作したことがない美術大学の映画研究会が、或る切っ掛けで過去の先輩たちが手掛けたものの未完成だった作品を完成させるべく、映画作りに邁進していく様を笑いを交えながら描いていく。
この作品がユニークなのはキャストがほぼ本人役で出ているところや、完全な脚本が無く、「口立て」という現場で大筋を口頭で打ち合わせして、即興の芝居、つまりアドリブで演技していくという手法をとっている。
だから映画を観ていて、我々の日常の延長線の世界で物語が展開しているような“自然さ”がある。
映研に代々伝わる曰く付きの台本による映画製作なので、彼らにも様々なトラブルや困難が降り掛かってくるのだが、果たして彼らは映画を完成させることが出来るのか?
夢と現実、フィクションとノンフィクションとの境界を跨ぎながら、映画を作る喜びを青春ドラマに昇華して描く。