フクイヒロシ

AWAKEのフクイヒロシのレビュー・感想・評価

AWAKE(2019年製作の映画)
4.0
面白いっ!
でも地味っ!
しかし面白いっ!
さりとて地味っ!
トータルで面白い。


邦画でありがちなくどい音楽もないし

「恋愛要素入れとけ!」みたいなとってつけたような恋愛パートもないし

叫びまくる感情表現セリフもないし

ラストもくどくどと長くない。

ありがちな若者たちの居酒屋での喧嘩も、あるんだけど……ササっと切り上げる。


意識して「邦画病」を避けているのでしょうか。
脚本監督の山田篤宏監督、賢明ですし、希望の星です。




**


いくらでもポップ路線、ヒット路線、つまりはよくある邦画路線に持っていくことはできただろうに
意思を持ってそこから一線を画した脚本と演出になってますね。

とても好感が持てます。
新しい日本映画の波を感じますよ。

極貧邦画インディーズ映画のザラザラした感じともまた違う、
中規模中ヒットくらいの佳作路線。

日本映画界にはあまりないライン。

このラインが増えると映画文化は豊かになるよね!



**


テネットの「考えるな。感じろ。」並みに難しい。。
っていうかわからない。。

僕は将棋もわかんないしパソコン関係もわからない。。
吉沢亮がずっと何やってたのかわかんなかった。。

製作者側もそれを細かく伝えようとはしなかったですね。
賢明な判断だったと思います。

ちゃんと感じることができましたから。


**


まず話自体が面白いですよね。
難しいことがわからなくても話の面白さはわかる。

AI対プロ棋士の戦いも「勝負」なのか「将棋〝道〟」なのかのせめぎ合いもハラハラしましたよ。


***


俳優全員いいですね。演技素晴らしい。

若葉竜也のダークヒーロー感、いいですし。
吉沢亮もラストの表情めちゃ良かったです。

落合モトキも1人でポップ要素を担っていて大変そうでしたけど面白かったです。


***


特筆すべきは川島潤哉!

メンターおじ(い?)ちゃん役の人。

本物のプロ棋士なのかな?っていうくらいの雰囲気なんだけど
台詞回しとか表情とかがどう考えても高次元の俳優レベル。

どういう人なんだと思って映画見終わってすぐ調べました。
川島潤哉という方なんですね。
自作自演の一人演劇をされているような方。
孤高の方なのでしょうか。

確かにこの映画でもそんな雰囲気出てましたね。
かと言って触るもの皆傷つけるような雑な人でもなく。

よくありがたちなメンターおじ(い?)ちゃん役になりそうなんだけど
ちゃんとこの人の人生も見えてくるという。。

釘付けになりました。