■NOTE I メアリー・ラティモア(Mary Lattiomore)のアルバム『Collected Pieces: 2015-2020』について
_2020年に録音された「What The Living Do」は、Marie Howeの同名の詩からインスピレーションを得ており、人間であることのありふれた雑感への感謝を通して喪失について考察しています。エコーがかかったスローマーチのトラックは、リスナーがその外側にいて、人生が映画のように展開するのを眺めているような、遠い感じを感じさせる。『Princess Nicotine(1909)』は、J・スチュアート・ブラックトンのシュールなサイレント映画「Princess Nicotine」か『The Smoke Fairy』のためにラティモアが想像した夢のシーンを音像化し、MVで実際の映像で表現したもの。『Polly of the Circus』も同じ手法で、ユーコンの永久凍土で発見された古いサイレント映画(ドキュメンタリー映画『Dawson City: Frozen Time』に収録)の名前からとったもので、「唯一残ったコピーで、経年変化でちょっと歪んでいる」と説明している。
■NOTE II ◯ビル・モリソン(1965-)はアーカイブ映像を使い現代の作曲家とコラボレートすることで知られるアメリカの映像作家で、MoMAで回顧上映も行なわれた。日本では代表作『ディケイシャ』(2002、67分)が2014-16年の巡回プログラム「ニューヨーク近代美術館映画コレクション」展の1本として上映されている。本作は2016年のヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門でワールドプレミア上映され、ロンドン映画祭、ニューヨーク映画祭等でも上映された。
↑「Image Forum Festival 2017レポート」『多摩美術大学芸術学科』2017-05-27、https://www2.tamabi.ac.jp/geigaku/image-forum-festival-20171/
■NOTE III ビル・モリソンは当初、12分間の映画『彼女の映画』(1996年)と同様のプロジェクトを想定していたが、時間が経つにつれてより広い範囲を想定するようになった。「ドーソン博物館」と「パークス・カナダ」の職員であるキャシー・ジョーンズとマイケル・ゲイツは、それぞれ「Dawson City Film Find」の初期の権威であった。モリソンは、2014年に両者にインタビューしている。元々彼はこのインタビューを最終的な映画に入れるつもりはなかった。 モリソンは、バンドのシガー・ロス(Sigur Ros)が彼の前作『ディケイシャ』のファンであることを知り、作曲家としてアレックス・サマーズ(Alex Somers)を採用することができた。