サンヨンイチ

ザ・ファブル 殺さない殺し屋のサンヨンイチのレビュー・感想・評価

4.0
1作目でもったいないと感じられた部分をちゃんと補完しつつ、
アクションシークエンスこそ少ないものの
魅せるところは魅せる。
メリハリもあって
ドラマ性もしつこくない程度に湿っぽい。
前作を完全凌駕した映画でした。
パワーアップして帰ってきた!とはこのこと。

冒頭よりヒートアップするアクションは
物語への没入には十分すぎるほどの緊迫感。
立体駐車場とは、些か使い古された装置にも思えるが
公道爆走!とは異なる、
限られた空間をフルにつかって
一難去ってまた一難、多様多彩なギミックで
スリルに陥れる数分間は息を飲む間もない。
洗練されたのはアクションに然り、
ギャグシーンにも然り。
何の気なく笑ってしまった。

中盤、
物語とは関係なく、
ただただアクションを魅せるためだけの装置として
君臨する牙城、建設用の足場。
魅せるための映画としては『ジョン・ウィック』シリーズと同じで、
岡田准一ももうキアヌと変わんねえな、と感嘆しつつ、
上述のシリーズよりも
まだ現実世界で起こりうるギリギリのラインに踏み留まっているところが印象的。
なので、マンションの隙間だったり非常階段だったり、狭い空間でのミニマムながら
職人作業が如く無駄のない捌きが
実は最大の見せ場だったりする。
動きがホンモノすぎて脳の処理が逆に追い付かない。

とはいいつつも
『4』や『5』がでる頃にゃ
コンチネンタルホテルはファブルを追い出すだろうし、
街行く人の7割はファブルを狙う殺し屋だったりしていくんだろうな、と想像する。
それくらい、
あの足場は
爆破で壊れること以外の
存在意義がなさすぎて笑いが止まらんかった。

その他キャスティングもよかったし
堤真一の絶妙な小物感も名人芸。