パルプフィクションやレザボアドックスの印象が強いティムロス主演の映画なのだが、
この作品はバイオレンスさは全くなく
船上で生まれて生涯一度も下船することがなかった男のヒューマンドラマだった。
居場所とはなにか、、
人々が旅に出る理由とは
今いる場所が最良の地ではないからだろう。
このような理由が映画として描かれることが多いが
この作品はその反対であった。
主人公はいつも外には出たがらなかった
ビザや国籍などはなく法的には存在していない人。
そう言った理由もあったが、、
彼は天才的なピアノの才能があった。
ジャズの神様と呼ばれる男が
その噂を聞きつけ船上にいる主人公を訪ね
勝負をする場面がある。
彼はジャズの神様の演奏に感動するものの
格の違いを見せつけるほどの腕前💪
そのため国籍を手に入れ船から降りることは
すでに容易なことであった。
しかし、彼はそれでも降りなかった。
ある時、彼の演奏を大会社がレコーディングすることに、、
その時たまたま目に映った女性に“恋をする”
そこから彼女へのラブソングが作られるのだが、彼はこの曲を彼女だけの贈り物にしようとレコーディングを拒否する。
彼が恋をした女性の正体とは、、
昔、船に乗り合わせたある男の娘だということがわかる。
その男とは短い関係だったが
ある印象的な言葉を残していた
丘を登ってみえた海、
その海は言った「人生は壮大だ」と
彼はいつの日か
その女性のために、
人生の壮大さを知るために、
船を降りようとする、、
しかし、、
現在は船が廃船となっている数十年後。
語りは主人公友達、、
過去と現在を上手くリンクさせながら
奇跡なストーリーを淡々と描いていく。
最後には
人にとって自分の居場所とは
遠く離れているところへ旅をする者もいれば
すでにその場所だったりする。
どちらにせよ
生きる意味を見出すかけがえのないものであるに違いない。
危険を冒してでもやはり旅に出よう。
危険を冒してでもその場所を守ろう。
人生の“居場所”の壮大さを知った。
とろけるような美しいメロディと
優しくも感情を秘めている繊細な表情のティムロスはまさにこの作品が傑作として言われる重要な柱だった。
過去と現在をリンクさせながら
不思議な人生を送った主人公の心うちを
繊細に丁寧に浮き彫りにしていき
ついに現在に重なり明かされるとき
彼の人生が浮き彫りに、、そして感動した。