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ウィッカーマン final cutのIKのレビュー・感想・評価

ウィッカーマン final cut(2013年製作の映画)
3.8
元々公開されていた88分のバージョンは短縮されたもので、行方不明になっていたフィルムを基に監督が再編集したものがこのファイナル・カット版だそうで。

「ミッドサマー」のアリ・アスター監督がこの映画の大ファンらしく、主人公(=観客)の持つ世界観や常識がメタメタに壊される所や、死生観や性に対する感覚が全く異なる点など、確かに色々な共通点が見られる。ただ核となる要素がこっちが宗教的な側面なのに対し「ミッドサマー」は個人の内面で、特に異文化を受け入れるか否かという所が大きく異なるので、2作はあくまで似て非なるものという印象。

劇中様々な曲が流れ、一見明るいミュージカル映画っぽいが、歌詞が猥褻な内容ばかりというギャップが面白い。行方不明の少女を探すうちに、島の歴史や文化が明らかになっていくが、それら一つ一つがこれまた気味が悪く、足元がグラつく様な居心地の悪さを覚える。その気味悪さは終盤に繰り広げられるメーデーのお祭りで大爆発し、クライマックスの惨状はもう見てて清々しいやら胸糞悪いやら。確かにこれは嫌でも記憶に残るわ。

あと見てて何となく「ホット・ファズ」っぽいなぁと思ったら、本作の主役エドワード・ウッドワードが「ホット・ファズ」にも出てたとは。
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