【2021年キネマ旬報日本映画ベストテン 第5位】
『ゆきゆきて神軍』などのドキュメンタリーの巨匠・原一男作品。372分という超長尺で語られる水俣病。
すごい。圧倒される。水俣病って昔四大公害病として習いはしたけど、現在どうなっているか考えたこともなかった。巧みに話を引き出す原一男監督の手腕に唸らされる。
そもそもどこがやられるのが水俣病なのか、それによって認定が変わってくる。医学の問題なので素人には分からないけど、でもまだ認定されていない被害者が確かにいる。
闘い続ける未認定患者たちの決死のエネルギーに圧倒される。水銀に対する杜撰な扱い、お役所対応と上の対応がお粗末すぎるのは確か。
患者が語る水俣病、監督からみた水俣病、医師からみた水俣病、様々な視点から迫っていくまさに曼荼羅のような映画。
特筆すべきは原一男監督の話を聞き出す力。『ゆきゆきて神軍』『全身小説家』は密着した人のクセが強すぎて気がつかなかったが、今回はそれを非常に大きく感じた。