Rocco

ノッティングヒルの洋菓子店のRoccoのレビュー・感想・評価

3.3
プライムにおススメされて、前知識なしで鑑賞。

女の子なら誰でも小さい頃、ケーキ屋さんになりたいと思ったことがあるのでは?ロンドン住みならあああそこだ、とすぐ場所が判るようなロケーション、オットレンギそっくりの赤いメレンゲ、ピエール・エルメのイスパハンを始め美しく美味しそうな生菓子が沢山出てくるからお菓子好きには眼福。

先日観た『一流シェフのファミリー・レストラン(The Bear)』と同様、この映画もBereavement(死別)の後、関係者が新たな人生の目標を得て立ち直っていく話。舞台が英国のせいか(英国の価値観では誰が相手でも叫ぶことは良くないとされている)、こちらは全てのみ込んで、時間薬で癒していく。登場人物のほとんどが女性ということもあるのかもしれないけど、そういう意味では静か。

監督はこれがデビュー作だそうで、最後に○○に捧ぐ、とメッセージが出てくるのはもしかしてお母さまなのかな。ウィンドウの飾り方なんかはオットレンギっぽいし、同じ国に住んでるから日常目線で思わず突っ込んでしまう(あの場所であの価格設定ではビジネス成立しないだろう、とか)。日常を切り取りながら、眼に入るもの総てが寓話的に美しい。

心温まる佳作なので、お菓子が好きなら特に楽しめると思う。作品としては少々後出しじゃんけん的なご都合主義の部分があるのが残念(あと、日本人的にはちょっと面白い展開があるから、スコアはその点を加味)。
Rocco

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