にしくん

ベイビー・ブローカーのにしくんのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.0
それぞれが複雑な胸の内を抱えながら、赤ちゃんを売るブローカーと、赤ちゃんを捨てた女性の奇妙なロードムービー。赤ちゃんポストという施設がもたらす影、赤ちゃんを売らねば生きていけない、人身売買をしないと生きていけない貧困層と、一方で赤ちゃんをお金で買う富裕層が存在するという経済格差を垣間見る。
奇妙な関係で始まった旅は、衝突がありながらも少しずつ打ち解けていく。気が付けば彼らはひとつの家族となっている。生まれてくれてありがとう、このセリフを聞いた瞬間に涙が止まらない。そんな彼らが赤ちゃんを売ろうとしているという、矛盾がたまらなく切ない。
ソン・ガンホ、カン・ドンウォンらの演技は良かったが、特に良かったのは母親を演じたIUことイ・ジウン。お見事。
是枝監督の韓国映画は大成功と言えるのではないか。もう日本でだけ映画を撮る必要はなく、より幅広いテーマを描くチャンスを掴んだと言える。
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