ロアー

ベイビー・ブローカーのロアーのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.8
是枝監督の作品はこれまで「そして父になる」「万引き家族」「三度目の殺人」の3本を観ていて今作で4本目になるんですけど、何故か毎回うまく言葉で表現することができない病を発症してしまい、監督の作品の感想を一回も書けた試しがありません。
鑑賞後の切なさとあったかさが入り混じった感情を頭じゃなく心で処理して満足してしまっているせいで言語化できなくなるのかな?と、言い訳を考えてみたりなんだり。
今回も全然まともな感想を書ける気がしないけど、折角なので頑張ってそれっぽいことを書こうと思います。

まず「ベイビー・ブローカー」というタイトルだけ聞くと闇しか感じないところが「万引き家族」の印象と似てました。実際に映画を観てみると、是枝監督らしい血の繋がりだけじゃない家族の形を描いた温かい作品で、役者も間違いない安定の人たちばっかりだったし、韓国が舞台ということでいい意味で少し客観的に観れた気がします。

この映画で題材となっている赤ちゃんポストや人身売買の他、いまアメリカで中絶の権利の問題がヒートアップしていたりと、赤ちゃんをめぐる問題は人が生きていく限り決して尽きない難しい問題だと思う。
「捨てるくらいなら産むな」と主張していたペ・ドゥナ演じる刑事と赤ちゃんの母親が、意見も立場も対比するように描かれている中で、徐々に考えがが変わっていくストーリーが秀逸でした。

"赤ちゃんを売る"という犯罪でしかない目的の旅なのに悪い人なんて誰もいなくて、みんながみんな赤ちゃんの幸せを思って行動していたのが切なくもあったかい。
この表現しきれない余韻がやっぱりうまく感想を書けない理由なんだろうな。なのでもっと表現力のある人たちの感想を読むことを強くオススメします(ここまで読ませておいてか)

あ、全然話変わるけど、是枝監督がカンヌ滞在記として「隣のテーブルにいるマッツとヴィゴをチラ見しながらランチ。ミーハーですみません」ってツイートしてたことへの分かりみが激し過ぎたこともここに折角なのでメモしておきます。
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