ルサチマ

Terraのルサチマのレビュー・感想・評価

Terra(2018年製作の映画)
5.0
土があり、丘があり、湖があり奥には樹々がある。その光景を捉えるだけでこの画面に映る世界が、たった一つのロケーションで地球を表象してしまうことに気がつく。
ラストショット、丘の上から2台のバイクが画面手前へとフレームアウトするとフレームの外から鳥の鳴き声とともに鳥の群れが画面を横切る。そして画面手前から現れる巨大トラック。この画面の内と外で連携される音から映像、映像から音への運動の果てしない連携に凄い映画を観てしまったと確信する。
果てしないロングショットの連鎖は赤土を被った窯を中心に添えた地形を外側へと遠ざかりながら把握させていく。

常にカメラはフレームの外側へと意識を向けているなかで、突如カメラのクロースアップにより、赤土を被った窯の質感が画面に刻み付けられる。ここが地球の中心地であると言わんばかりにカメラを地面へ釘を刺すかのように固定する。
ロングショットもクロースアップも対等にフレーム内への密度が高められる素晴らしい撮影と編集の才能に震撼した。

堀禎一の『天竜区』シリーズとともに21世紀の映画史に刻まれなければならない偉大な傑作。
ルサチマ

ルサチマ