深獣九

ザ・スイッチの深獣九のレビュー・感想・評価

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)
4.0
「わたしたち」
「もしかして本当に」
「入れ替わってるー!」
でお馴染み、男女入れ替わりな物語。

なんだよくある話じゃん、とスルーするのはしばし待たれよ。なんと監督は『ハッピー・デス・デイ』『ハッピー・デス・デイ 2U』のクリストファー・ランドンだ。
え? ランドン監督、あの超絶オススメ映画、「ゾンビ系観るならおすすめ何?」と聞かれたら即答の『ゾンビワールドへようこそ』も撮ってるのか!
この情報だけで絶対間違いないですね。

本作の見どころは、入れ替わるのが「巨漢のシリアルキラー」と「引っ込み思案の文学オタク女子」というところ。しかも彼女はいじめられっ子。このギャップが物語の信頼性を高め、深みを与えてる。心は殺人鬼だけどまぁそりゃそうなるよね、と納得できる。

キャラも際立ってる。
自信を持てない女の子、夫の他界から立ち直れない母、傷つきながらも気丈に振る舞う警察官の姉、大親友の黒人女子とゲイ男子、主人公の憧れ非マッチョイケメン男子。
それぞれがきちんと見せ場があり、シナリオ作りがとても丁寧と感じる。伏線もたくさん。ランドンのお得意とするところだ。

いわゆる正統派青春スラッシャーだが、コメディパートもレベルが高い。何度も吹き出してしまった。ランドンのセンスは、私のDNAと呼応しているようだ。
主人公ふたりの演技レベルが極めて高いところも、この作品の笑いと魅力を倍増させている。ふたりが入れ替わってからがまた素晴らしい。本当に魂が入れ替わっているよう。特にシリアルキラー役ヴィンス・ヴォーン。巨体の強面がIKKOさんのように振る舞うさまを見るだけでお釣りがくる。おっさんの踊りやっぱいい。
私は吹き替えで観たのだが、翻訳がうまいのでさらに楽しめる。

面白いだけではない。殺人方法も多彩なので、ホラー心をきっちり満たしてくれる。そういえば『ハッピー・デス・デイ』も、いろいろな死に方で楽しませてくれたな。
もういろいろ楽しすぎて、みんなでゲラゲラ笑ってツッコみながらみたい作品No.1。

親友ふたりに殺人鬼の中身が主人公ミリーと伝わるシーンが、めちゃめちゃ盛り上がってというか青春で最高だった。あの親友タッチはイケてるな。おっさんがやっても様になるかな(ならない。

ミリーの恋が成就するのもお約束でステキ。

あー笑った笑った。スパイスは効いてるけど、安心して味わえる創作カレーのような作品。みんなカレー好きですよね?

大満足だった😊😊😊

【以下ネタバレ】




盛りだくさんの殺し方をご紹介。
・口からワインの瓶を喉の奥に突っ込み。ぶっ叩いて破壊し破片で内側からザク切り
・便座で頭粉砕
・テニスラケットを折り頭の両側から串刺し(テニスラケットの鹿できあがり
・壁に刺さった槍に串刺し
・冷凍装置でマイナス300℃でカッチコチからの粉々
・丸鋸で人体まっぷたつ
・チェーンソーで性欲小僧の股間解体
・フックでサンゲリア

殺しの前に服着替えたシリアルキラーまじ有能。女の武器を使うなどIQも高い。きめ細かいキャラ作りしたスタッフも有能。

踊るおっさんやっぱいいな。『ウィリーズ・ワンダーランド』のニコケイもめちゃよかった。私も踊るとしようかな。

不安のあまり心情をハッシュタグ付きでつぶやくミリーを、なにそれ? って振り返るブッカの顔😂😂😂

石仮面、人を操る短剣(型のスタンド)、古代アステカの儀式用神殿、赤石(エイジャ)。ランドン監督、『ジョジョの奇妙な冒険』大好きにちがいない。

ラドーラの短剣が無事なら2もあるね。楽しみ✨
深獣九

深獣九