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パンクのshironのレビュー・感想・評価

パンク(2020年製作の映画)
5.0
◾️都会の距離感とリアルの違和感。

人との距離感の崩壊に心がざわつく!
リアルとクラウドが、街頭放送やバイト先のAIとフラットになっていく…
・パンク犯:見えないけれど実在している
・街角の女:目の前に実在する
・チカ:クラウド上の存在だが実在している
実際に目の前にいるのに遠い言葉と、目の前にいないけど近い言葉。
でも、何より自分を支配してくるのが、顔の見えない存在であるところが面白い。

見えない犯人を追いかけることで気づく、知らない奴から見られる恐怖と、知らない奴らを見つめる安堵。
犯人探しのはずが、大衆の中に埋もれる個を感じました。
社会に加わっていない傍観者。
そんな一歩引いたポジションは、「未来に向かって一緒に」と呼びかける街頭放送とは対称的に、自分から言葉を発信する責任を負わなくて良い安堵感が漂う。

ところが犯人は、多くの人の中に埋もれている自分をピンポイントで見つめている。
真意がわからないまま、見られている恐怖。
それは同時に、SNSで顔なき声に一喜一憂する周りで、顔も声も無い存在が見つめている事に気づかされる瞬間でした。

繰り返しの面白さ!
連続パンクがテンポ良く、効果音も笑えます。
否定的な言葉を発する口のアップとか、違和感の表現が面白いと思ったら、
シーンを数カット撮って、数通りのアテレコと掛け合わせて編集しているとの事でした。

顔なき声の挑発には、ゾワッと鳥肌が立ちます。
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