菩薩

屋根裏の巳已己の菩薩のレビュー・感想・評価

屋根裏の巳已己(2020年製作の映画)
3.8
序盤から微かに香るこの映画の不在感に対する不信が池田エライザと上白石萌歌の中間に位置する艶やかヒロインが齎すエロスに掻き消され、全男子が羨望する幼馴染シュチュエーションに突入以降はその圧倒的太腿と咥え歯ブラシとに翻弄されまんまと監督の術中に嵌められた様な気になったが、文字通り世界が反転しエロスがタナトスへと転換される瞬間に、自分が観ていたこの曖昧な物語の正体を突きつけられる。ここにも『シルビアのいる街で』を見出す事が出来ようし、1番の影響元がリンチであるのも納得、梯子一つで世界から隔離される屋根裏空間や正しい現実を映し出しているとも限らない鏡の用い方も正しいのではと思う。赤と黒とが入り混じるトランプが二色に分別された後、生と死と、記憶と現実が入り混じっていた物語も二分される。風そのものを巻き起こす扇風機も大いに機能している。編集により崩壊させられる世界。オリンピックボランティアは徴兵制、企業インターンも同じかな。
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